何かやろうとしたとき、人に応援してもらったり、ファンになってもらうことは重要ですが、どのようにすれば応援してもらえるのでしょうか。
私はこれを考えるうえで重要なのはストーリーだと思っています。なぜなら、ストーリーは人の感情(欲求)を刺激することができるからです。
今回はこれについて、少し考えてみます。
マレーの欲求リスト
人間にはどれくらいの欲求があるのでしょうか。
マレーという心理学者は、生理的欲求と社会的欲求に欲求を分け、人間が持つ欲求をリスト化しました。現在はもっと細分化されているようですが、このときマレーが掲げた欲求は生理的欲求12種類、社会的欲求が28種類です。
マレーは人間の行動は欲求を満たすために行われると考えました。
つまるところ、人間が何かをするときは、何らかの欲求が満たされているということです。
また、どの欲求が強いかによって、性格の違いが出来上がるとも言えます。
肝心の欲求リストは以下の記事を見てみてください。
https://swingroot.com/murrays-psychogenic-needs/
物語とは感情の疑似体験である
物語というのは、基本的には受け手に作り手が意図した感情を疑似体験させるものです。(結果的に意図しない感情を与えることもありますが)
感情を覚えるというのは、何らかの欲求が刺激されているということになるでしょう。
そして、物語とは何も小説や映画、漫画、アニメなどの作品だけではなく、私たちの日常にあふれています。エピソードトークなどは物語の最も原始的な形でしょう。
私たちは無意識に、人との会話の中で物語を使って、相手に自分の伝えたいことを伝えようとしているのです。
これを上手に、ある意味で利用することで、応援してもらうことができるわけです。(逆に悪用される可能性もあるので、注意が必要です)
応援の2パターン
応援に関わってきそうな欲求としては、
優越欲求、達成欲求、承認欲求、顕示欲求、支配欲求、服従欲求、同化欲求、親和欲求、擁護欲求、救護欲求、証明欲求
あたりがありそうです。
これらのすべてがあるわけではなくて、これらのいくつかを組み合わせていることが多いと思われます。また、人によって重視する欲求が違うということもあるでしょう。
さて、上の欲求を区別していくと、大きく応援の形態は2パターンに分けられそうです。
憧れパターン
欲求で言うと、達成欲求、承認欲求、服従欲求、同化欲求、親和欲求、救護欲求あたりです。
応援先の相手に憧れているというパターンで、純粋なファンはここに入ることが多いのではないでしょうか。どちらかというと受け身で、「相手に従いたい」「相手に受け入れてほしい」「相手に助けてもらいたい」という感情を持ちやすいように思います。
この場合、応援してもらうには、憧れられる要素が必要になります。ほかの人ができない、あるいは苦手なのに、自分は簡単に出来てしまうというものを軸に考えると上手くいきやすいのではないかと思います。王道パターンです。
物語としては、苦難を乗り越える的な王道的なものが似合います。あるいは無頼のような、「他とは違う」という明快な差別化をするのが大切です。
育成者パターン
欲求で言うと、優越欲求、達成欲求、承認欲求、顕示欲求、支配欲求、擁護欲求、証明欲求が関係しそうです。
応援先の相手を導こうとするパターンで、気を付けないと歪な関係や不健全な状態になりやすいので注意が必要です。それでも最初はこういう応援も必要です。能動的に「相手を従わせたい」「お世話してあげたい」「相手の成功により自分の価値を証明したい」という感情を持ちやすいと思います。
この場合、応援してもらうには、相手よりも自分は下に見られるという感覚に抵抗がないことが必要です。また、助けを求められる強さも必要です。同時に過剰欲求には毅然と対応できる必要もあり、ハードルは高いです。アイドルなどはこのパターンに入りやすいですが、その分続けるのが難しいように思います。
物語としては、同情をひいたり、お世話してあげようと思わせるものが有効です。ただ、過剰になったり、嘘をついたりすると、後でえらい目にあうので、程度は守りましょう。
おすすめは
おすすめはやはり、憧れパターンですね。育成者パターンは苦労することが多いと思います。精神的にタフでないと大変です。また、ずっと育成者パターンでいくのは難しいので、最初は育成者パターンで、実績ができたら憧れパターンに移行するのが賢いように思います。
応援してもらうための物語、あなたも考えてみてはどうでしょうか。